動物看護師が国家資格に!
「愛玩動物看護師」とは?獣医療の高度化と多様化に伴い、動物病院などの獣医療の現場では、これまで以上に高度で専門的なスキルを備えた人材が求められています。こうした社会的な背景から、獣医師と愛玩動物看護師によるチーム獣医療提供体制の確立のため、新しい国家資格「愛玩動物看護師」が誕生することになりました。
名称独占資格
資格所有者しか「動物看護師」という名称を名乗れません。
業務独占資格
資格所有者以外の人はその仕事を
することができません。
愛玩動物看護師になるには
愛玩動物看護師をめざすみなさんへ
動物のいのちにかかわる責任と覚悟が必要です
愛玩動物看護師という新たな国家資格の誕生に伴って、変化が予想される動物病院の現場。公益社団法人 石川県獣医師会の会長を務め、石川県金沢市と穴水町で地域の獣医療に貢献するみやの動物病院の院長宮野浩一郎先生にお話を伺いました。
みやの動物病院には日頃、
どのようなケースで来院される
ことが多いですか?
最も多いのは予防医療ですね。フィラリア予防、ノミ・ダニ予防、狂犬病予防接種など、感染症の予防接種での来院が多いです。その次に内科的な診療、皮膚、耳鼻咽喉に関する診療が続きます。最近は、外科での来院はずいぶん少なくなりました。昔のように野良猫が滅多にいませんから、猫が外に出て喧嘩をして怪我をするということは少なくなりました。石川県においては子猫の殺処分もないに等しいです。今は、動物愛護の精神でSNSなどを通じて情報発信し、飼い主を見つけることができるようになりました。石川県獣医師会でもホームページで犬猫の譲渡に関する情報発信を行っています。
「愛玩動物看護師」には、
どのようなスキルが求められますか?
愛玩動物看護師は、動物の医療に直接的に関わる責任の大きな仕事です。カルテを見て獣医師の処方のもと「今日の処置はこれ」「この治療の薬はこれ」「体重が何キロだから投与量はこれだけ」などと、専門知識に基づいた判断と処置を行う仕事です。静脈注射も皮下注射も行う責任のある職種であることをまず認識してください。獣医師のサポートをするということは、それだけの責任と覚悟が求められるということです。動物看護師というと、どうしても女性の多い職種のように見えますが、私は男性の愛玩動物看護師にも大きな期待を寄せています。ゴールデンレトリバーなどの大型犬を抑えて処置するには、やはり力が必要です。犬は相手を見る動物です。自分よりも大きく、力のある相手だとおとなしくなる傾向があります。
愛玩動物看護師をめざす学生は、
どのようなことを意識して
学ぶと良いでしょうか?
愛玩動物看護師を養成するのは、専門学校だけではなく、大学もあります。いずれにおいても国家試験に合格しなければ、愛玩動物看護師になることはできません。技術は、現場に出て高めていくことはできますし、私たちももちろん現場で指導しますが、国家試験に合格するためには、専門知識をしっかりと習得しておかなければなりません。実習ももちろん大事ですが、専門学校のみなさんには、知識の習得がおろそかにならないように頑張って学び続けてもらいたいですね。たくさんの職種の中から「愛玩動物看護師」をめざしたみなさんのスタートラインは同じです。自分の目標として決めた以上は、国家試験合格をめざしてお互いに一生懸命に努力してスキルアップしてほしいと思います。合格して現場に出てからは、一匹でも多く笑顔で帰れるクライアントが増えるように頑張ってもらいたいですね。
最後に、国際動物看護専門学校へ
メッセージをお願いします。
国際動物看護専門学校には、愛玩動物看護師を養成する専門学校として、地域のオピニオンリーダーになってもらいたいと思います。模範となるようなカリキュラムで若い人材の育成を期待しています。関係機関との連携を密にとり、一人ひとりの学生に必ずフィードバックできる体制で臨んでもらいたいですね。
「愛情が最高の治療である」をモットーに、すべてにおいて愛情をもって治療に携わることを大事にしている動物病院です。
獣医師の指示のもと、診療の補助、愛玩動物(犬・猫)の看護、適正な飼養に関するアドバイスなどを行います。これらの業務のうち、診療の補助は愛玩動物看護師の資格を有する者だけが行える独占業務となっています。
愛玩動物看護師のみ実施できる業務
国家資格化により、愛玩動物看護師は、これまで獣医師が行っていた下記の業務ができるようになります。
- 診療の補助
- 採血
- 投薬(経口など)
- マイクロチップ挿入
- カテーテルによる採尿など
そのほかの業務
- 入院動物の世話
- 診断を伴わない検査
- 動物の日常の手入れに関する指導・助言(グルーミング、爪切り、歯磨き等)
- 人と動物の共生に必要な基本的なしつけ
- 動物介在教育への支援
- 動物介在活動への支援(高齢者施設等でのセラピー活動)
- 飼い主とのコミュニケーション